2013/07/20

ワルプルギスらいと2013に投稿している作品の紹介3

なぎのきは「ワルプルギスらいと2013」に5作品、投稿しています。
5作品だったのですが、7月19日にもう一作、投稿してしまいました。


ファンタジー物です。
何故か、急にファンタジー物を書きたくなり、一気に勢いで書き上げました(ネタは元々あったのですが、形にしていなかったので良い機会でした)。
正味で4時間ほど。
勢いに乗ったまま書き綴り、そのままアップロード。しようとして……
ここで、8000字の壁が立ちはだかる訳です。

後150文字。よし、このエピソード削ろう。
後80文字。余計な読点削ろう。
あと少し……。余計な—(ダッシュ)を削ろう。

と細かい修正を繰り返してやっと8000字弱に。で投稿。
その後で、すぐさま誤字脱字のご指摘を頂き、速攻修正。有り難いです(ちゃんと推敲しようねw)。

内容は、前述しましたが、ファンタジーです。
王道っぽいです。が、主人公がくせ者です。
元・神様なのです。

作中では、片田舎で隠遁生活をしていますが、国王を「ハナタレ小僧」呼ばわりします。

「あのハナタレ小僧がねぇ」
 リアンは、通告書の署名の主、つまりは、国王を『ハナタレ小僧』呼ばわりした。
「リアン……今は誰もいないから良いが……」
 村長は、禿げ上がった額に汗をにじませ、周囲を見回した。
 齢七十。村一番の年長者である村長も、さすがに国王の侮辱の言葉を聞いては、平静ではいられない。
 とは言え、当のリアンは全く意に介さない。
「まぁ、理由はきっとこじつけね。アイツは昔から屁理屈をこねくりまわすのが上手かったからねー」
「そ、それはともかくだな」

リアンの相手をする村長は気が気でない。
禿げ上がったり、冷や汗かいたり、一気に十歳程老けたり、大変なのだ。
で。
なんやかんやで王宮に赴くのだが、普通のやり方をしない。

「さてさて」
 リアンは、自宅に着くと、パンパンと手を叩いた。
 突如空間に穴が空いた。向こう側は黒一色――漆黒の闇だ。
「面倒な事はさっさと済ませる。ついでだからキリアの回収もしてくるか」
 リアンは、何でもないようにその穴に歩を進め、闇の中に姿を消した。

こんな風に魔法的なやり方で王宮に乗り込む。
で、王宮では、

「ルーデシアス。来たわよ」
「は?」
 リアンは、王宮にいた。
 しかも玉座の間に。
 当然、そこには王様――ルーデシアス二世が座っていた。
 脇には書類の束。何かの決済書類らしい。
「その書類が元凶?」
「は? え? リアン? 何で?」
 ルーデシアスは王だ。だが、全く状況を理解していなかった。威厳もどこかに吹っ飛んでいた。傍に控えていた近衛兵や文官たちも同様だった。

いきなり、玉座に姿を現す。
とんでもなく無礼である。
でも、リアンは気にしない。相手は大変だろうが……

「リアン殿、来られるなら、それなりの手続きという物がある。そもそもここは」 「ご託は良い。面倒だから」
 リアンは、ルーデシアスの言葉を遮り、かつ敬意のカケラもない口調で言い放った。
「新しく雇った魔導師はどこ?」
「リアン殿」
「ルーデシアス。あんたいつから私に口答え出来るようになったの? 今? さっき?」
 仮にも相手は一国の王だ。それをリアンは呼び捨てにするばかりか、完全に見下していた。
「ああもう、分かったよ。分かったからちょっとこっちに来てくれ」
 ルーデシアスは口調を変え、髪を掻きむしりつつ、リアンの腕を引いて部屋の隅に移動した。
「……リアン頼むよ。これでも僕は王様なんだよ。立場ってのがあるんだよ」
 四十過ぎた男のセリフではなかった。
「あんな子供ダマシみたいな手を使わなくたって、来れば良いでしょう? あんたが」
「王様が直接特定の村を訪れるってのは、それなりの理由が要るんだよ。簡単に出来ないんだ」
「ったく、あんたはガキの頃からそう。頑固だし。頭固いし。ハナタレだし」
「……最後のは余計じゃないか?」

ルーデシアス王を手玉に取る。
ハナタレだし。と言い切る。
元・神様とは言え、やり放題である。

そして、新しく雇った魔導師が登場するが、これもリアンは意に介さない。

「このままでは埒があきませんね。私の部屋でお茶でも如何ですか?」
「断る」
「それよりも良く『結界』を打ち破りましたね」
「結界? そんなモンどこにあった?」
 魔導師の片眉がピクリと動いた。
「それより、名前を名乗りなさい。レディに失礼ではなくて?」
 字面では柔らかく見えるが、実際に放たれた口調は、相当きつかった。

この魔導師、一応それなりに実力があって、王宮に「結界」を張っていた。
もちろん、リアンには効果はない。

「言いたい事は言った。久しぶりにルーデシアスにも会えた。ここに用はない。帰る」
 帰る。リアンはそう言い放った。
「させません」
 ギニアスが杖を頭上に掲げた。
 綺麗な紫色の曲線が幾重にも放たれ、部屋全体を覆った。
「アレは我々の物だ。どこに隠した。言え、その場所を。さもなくば」
「さもなくば『魔法の刃』で切り刻む――バカかお前。そんなモン効くか」
 ギニアスはぶち切れた。
「うがぁああ! んじゃあ死ねえぇぇっ!」

あっさりぶち切れる魔導師。
この後、魔導師の攻撃魔法がリアンを襲うのだが、

 リアンに刃が突き刺さる。音はしない。ただ、砕けた石材が土煙のように宙を舞った。
「くそ」
 ギニアスは、毒づいた。
「これでまたやり直しだ。せっかくの手がかりを」
「手がかりをなくさずに済んだな」
 ギニアスはぎょっとして、目を見開いた。灰色の瞳が最大に拡がった。
――馬鹿な!
 そこには無傷のリアンがいた。埃にまみれ、機嫌も悪そうだった。
「ば、ば」
「馬鹿な、と言いたいんでしょうけど、私は先に言った。そんなモン効くかってね」
「どうやって」
「答える義務はない」
 リアンは、すがるような目で見るギニアスに背を向け、手を叩いた。空間に穴が出現した。

効果なし。
やりたい放題である。

と、まぁ、こんな感じで、性格にやや難のあるリアンが活躍(暗躍?)する物語なのです。

家に戻り、寝ようとして、ここで、ある事に気づく。

 リアンは横になりかけていたベッドから跳ね起きた。
「キリアの事忘れてた」
 哀れキリアは、すっかり忘れ去られていた。
「ま、良いか。どうせ戻ってくるし」

作中冒頭で、キリアという名前は出て来ます。
何やら用事があって、出かけています。
リアンは、王宮に赴くついでにキリアを回収しようとしていましたが、すっかり忘れている。
おかげで、一話では、彼は登場しませんw

ちゃんと活躍出来る、素直な人物なのですがw



これで、現時点での6作品はそれぞれの記事でご紹介させて頂きました。

「魔女の時間」「真夏の歩兵」「トリック・オア・ユアマインド」は
「ワルプルギスらいと2013に投稿している作品の紹介1」
「ホワイト・マップ」「マイ・ワンダフル・ディズ」は
「ワルプルギスらいと2013に投稿している作品の紹介2」

これらの作品を、もし読んでみたいと思われましたら、それぞれのリンクをクリックして頂ければ、作品のページに飛びます。
そして、続きを読みたいと思われましたら(アマテラスのアカウント登録が必要ですが。。。)、ブックマークをお願いします。
この辺の詳細は別記事で説明しておりますので、ご参照下さい。

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